緊急節電
スマートエネルギーネットワーク研究会
エネルギー検定

研究概要

 地球環境問題に関する話題が連日マスコミで取り上げられている。さまざまな担い手がさまざまな技術や政策に取り組んでいるが、果たしてその効果は適切に評価されているのであろうか。「クールビズは本当に温暖化防止に寄与するのだろうか?」「排出権取引の効果は?」「少子高齢化によってエネルギー消費量は増加するのか、減少するのか?」。このようなエネルギーに関する諸問題を提起し、現状を精査した上で適切に構造化し、システム工学等の手法で解き、結果について分析する。我々の行う研究はこのようなやり方で進められる。
 当研究室の基本的な目標は、どういうシステムにおいて環境負荷(エネルギー消費量・二酸化炭素排出量)が小さいのかを明らかにし、そしてそれをいかに実現するかということを探求することにある。目標はシンプルではあるが、考慮しなければならない制約条件は、経済性、資源量、国際競争などの政治的な問題、システムの永続性、人間の嗜好、将来の不確実性、既存システムの硬直性、など多岐に渡る。これらを踏まえた上で適切に評価するためには、工学だけではなく、経済学等の社会科学分野との学際領域での研究が必要となる。
 研究テーマの例は次のとおりである。

研究テーマ例

1.消費者受容性を考慮した住宅エネルギー管理システム
image 不安定な発電出力特性を有する再生可能エネルギーの大量導入を実現させるためには、電力システムにおけるエネルギー需給調整力を確保することが必要である。そのために、消費者の快適性・利便性を維持しつつ必要に応じて電力需要を調整できる機能を持つ住宅エネルギー管理システム(HEMS)の開発を目指す。また、HEMS普及促進のために、社会に受け入れられる仕組み・制度に関する検討や付加価値を高めるための研究も行う。
2.デマンドレスポンスに関する研究
image 持続可能な社会システム構築のためには、再生可能エネルギーの活用、さらなるエネルギー効率向上が重要である。再生可能エネルギーの中で大きな導入量が期待される太陽光発電と風力発電は、その発電出力が天候や時間によって出力が変動するため、これらの電源の導入割合の増加に伴い、電力システム全体の需給調整力をより一層確保する必要がある。需給調整力の一つが需要家サイドのデマンドレスポンス(DR)である。本研究室では、DRを評価するためのツールを構築し、系統全体への影響評価、需要家サイドの経済性評価を行っている。
3.高齢世帯のエネルギー利用に関する研究
image 我が国の高齢化率は2005年に世界最高水準となり、今後も高水準を維持していくことが見込まれている。近年の高齢世帯は、単身もしくは夫婦のみ世帯がほとんどで、世帯規模小さい、住宅は古く大きい、在宅率高い、家電が古く多い等、エネルギー多消費傾向が確認されている。増加を続ける高齢世帯の省エネは重要であるが、加齢に伴う身体の衰えや疾病などを抱える高齢者に、省エネのための我慢や努力を期待することは難しく、QOL高く快適かつ安全な生活が優先する。高齢世帯のエネルギー利用についてスマートメータデータなどを継続的に収集し実態把握を行うとともに、その対策について検討を行う。