停電の問題

緊急節電の目的は、停電を回避することです

このたび、皆さまに緊急節電をお願いしたいのは、停電を回避することが社会にとって極めて大事なことだからです。 停電はなぜそれほど重要な問題なのでしょうか。 それは停電がもたらす経済的な損失が、大変大きいからです。

節電によって停電を回避できることの価値は、電気代の節約だけではありません

普段の省エネでは、電気の使用量を減らすことで、電気代の節約を目指します。 例えば家庭では、省エネで、電気の使用量を1kWh減らせば、二十数円、節約できます。これが省エネのメリットです。

では、電気の使用量を減らすことで、停電が回避できた場合のメリットは、いくらになるのでしょうか?

電気の使用量を減らす際に、他のエネルギーを使わずに済めば、まずは、普段の省エネと同じように、電気代が節約できます。

しかし、これは停電が回避されることのメリットに比べればずっと小さいのです。

停電を回避できることの価値は、電気代の何十倍も大きいのです

工場で、急に停電が起きた場合を想像してください。 工場では、電気も使いますが、他にも、色々な原材料、製造用の機械、建物などを揃えて、製品を作りだします。 製品を売った金額から、製品を作るために揃えたものの金額を引いたものが、工場の稼ぎ(付加価値)になります。 例えば、お給料は、この付加価値から出ます。 東京電力のエリアでは、色々な会社(工場だけではありません)が、平均して、使った電気の電気代の何十倍もの付加価値を生み出しています。

ところが、急に停電になってしまうと、製品作りが止まってしまいます。 そうすると付加価値を生み出せません。 ただ電気が足りないために、電気代の何十倍もの付加価値を生み出すことが、できなくなってしまうのです。 では、停電を回避できることの価値は、いくらでしょうか。 単に、電気代、ということではありませんね。 電気代の何十倍も大きいのです。

この影響は、その工場だけで済むでしょうか。そういうわけにはいきません。 まずは、その工場で、お給料も減ってしまいます。すると、例えば、そのお給料で買ってくれていたはずの商品も売れなくなり、その商品を作る工場の稼ぎも減ってしまいます。他にも例えば、その工場が作ってくれる部品がないと、製品を作れない工場というのもあり、その工場の稼ぎも減ってしまいます。というようなことがめぐりめぐると、皆様の生活が苦しくなるのです。

停電を回避するためには、普段の省エネとは違う考え方が必要です

こうなると、少々の不便があったり、省エネに反したりしても、あるいは、普段ならお金がかかりすぎて使わない方法を使ってでも、「停電を回避するため」には、節電した方がよい、ということになります。

これが緊急節電の考え方の根っこです。普段の省エネとは違うところがあるのです。
「緊急節電の考え方」