緊急節電の考え方

今必要なのは緊急節電、省エネのための節電とは違います

経済活動や家庭生活を阻害する停電は、極力避けなければなりません(停電の問題)。ここでお話しする節電は、「停電回避のために」行うものであり、「省エネ・CO2削減」のための節電とは違うところがあります。例えば、電気からガスや石油への代替も選択肢になります。また、主としてピーク時間帯の使用を削減すればよいので、供給能力に余裕のある休日や早朝・夜間への需要シフトも有効です。いつ、どれだけの節電をすればよいのか、電力需給の状況を把握した上で(いつ,どれだけ節電 >> 最大電力 最近の推移)、適切な対策をとることが求められています。

この夏は、朝から夜まで継続的な節電が必要です

夏に一番電気が使われるのはお昼の13-16時ですが、実は朝夕の時間帯も油断は禁物です(いつ,どれだけ節電 >> 一日の電気の使われ方)。とくに家庭では、家にいる人が多く、夕食の支度などで多くの電気を使用する平日の夕方がポイントです。家事の仕方や冷房の使い方を工夫し、節電を心がけましょう。

また、それ以外の時間帯でも、必要のない電気は使わないように気をつけましょう。供給能力に余裕のある夜間の節電にも意味があります。現在、火力発電所は24時間稼働しており、普段より高額な燃料費を負担しています。この状況はしばらく続きますので、節電によって、その負担を軽くすることができます。そして、夜間電力の節約には、もうひとつ、揚水発電所(夜の電気を使って下池から上池へ水を汲み上げておき昼に上池から下池へ水を落とすことで発電する水力発電方式)を運転するための電力の確保につながるという、重要な利点があります。揚水発電所を運転させることができると、昼間のピーク供給能力を増加させることができるのです。

できるだけ経済活動を妨げない節電を

私たちが目指すのは、生産量や活動量を抑制し、不便さに耐えるような節電ではありません。被災地の復興を支えていくためにも、日本経済は元気でなくてはなりません。経済活動の維持と両立する節電対策を考えていきましょう。

そのためには、夏場のピーク需要期に入る前の早い段階から節電対策に取り組み、出来るだけ需給のひっ迫を緩和しておくことが大切です。早い段階から節電に取り組んでおけば、その効果を電力需要に織り込むことができ、過剰な経済活動の抑制を回避できるはずです。受け身の計画停電や電力の使用制限ではなく、積極的な節電対策を進めることで、経済活動と停電回避の両立を図っていきましょう。

それでも、夏の需要ピーク時の需給逼迫は避けられず、停電回避のために多少無理した節電を行う必要があるかもしれません。今からその方策を用意しておきましょう。

大事なことからこつこつと

節電方法は無数にあります。あまり無理せずできるものからかなり無理をしなければならないものまで、また効果の大きいものから小さいものまで、様々ですが、大きな我慢をしてもほんの少しの効果しか得られない対策では、長く続けられません。これから夏が終わるまで、継続した取り組みが必要なのですから、実行しやすく、効果も大きい対策に取り組んでいきましょう。当サイトでは、そうした節電をお勧めしています(基本はこれです:家庭編会社編)。まずは各家庭で、50W削減する努力をしてみましょう。昼間在宅している世帯はさらに100W、朝夕は200W減らしていきましょう。一つ一つは小さくても、皆で実行できれば全体としては大きな節電効果が生まれます。

もちろん、もっと頑張れるという方は、より高い目標に向け節電に取り組んでください。皆さんからの提案も紹介しています(みんなのアイデア:家庭編会社編)ので、ぜひ参考にしてください。

極端な無理は禁物です。他の地域への旅行も有効な対策になります

節電といっても、あまりにも我慢して、生活が苦しくなっては元も子もありません。例えば、各ご家庭のエアコン・照明を消して、冷房のきいた人の集まるところに行くのも基本的には節電です。また、思い切って長めの夏休みをとり、電力不足の心配のない地域に旅行にでかけるのもいいでしょう。電力の確保だけではなく、景気の下支えにもなるはずです。